不動産業とよくごっちゃにされがちなのが宅地建物取引業、通称「宅建業」です。
具体的にどういった違いがあるのかわからない方も多いと思うので、ここで少し整理してみましょう。
不動産業とは
まず、「不動産業」というのは不動産に関する取引を全般的に扱う職業のこと。
不動産売買業や不動産賃貸業、不動産管理業などに分類されているものの、業務内容が広いため定義することが困難とされます。
宅建業の業務についても不動産業の一部であることから、宅建業のことを不動産業と呼んでも間違いではありません。
簡単に言えば宅建業というのは不動産業の一部なわけです。
ちなみに、不動産業を直接規制するような法律は日本には存在しません。
宅地建物取引業とは
対して「宅地建物取引業」通称「宅建業」というのは、宅地建物取引業法の宅地建物を、宅地建物取引業として、売買・交換や売買・交換・賃借の媒介あるいは代理をする行為という決まりがあり、これを満たさない取引については宅建業ではなく不動産業として扱われます。もう少し分かりやすく説明しましょう。
宅地建物取引業の「取引」とは、宅地または建物を、次の8つの取引形態のいずれかで行うことを指します。
1.自ら売買
2.自ら交換
3.売買の代理
4.交換の代理
5.貸借の代理
6.売買の媒介
7.交換の媒介
8.貸借の媒介
宅地建物取引業の「業」とは、不特定多数の人を相手に、反復継続して取引を行うことを指します。ということは、たとえば、従業員のみを相手に売却するような場合には「業」にはあたらず、免許は不要ということになります。また、営利目的の有無を問いません。
なお、多数の知人友人に対して売却する場合や、多数の公益法人に対して売却する場合は、不特定多数といえるため、免許が必要ということになります。
ちょっとややこしいんですが…
このあたりは、宅地建物取引士の試験でも、定番でよく出題されるところです。
このことから、宅地建物取引業法によって業務停止の処分を受けたとしても、宅地建物取引業にならない不動産業の業務は行うことが可能。もしも業務停止をうけても事務所を閉鎖せずとも大丈夫です。
簡単にまとめてしまえば、不動産業は名前の通り不動産に関する何でも屋的な存在。
対して宅建業は限定された業務を行えるものといったところでしょうか。
利用者として見ている分には意識せずとも平気ですが、自分で宅建業や不動産業を行うとなれば、その違いをしっかりと把握しておかなくてはなりません。これから不動産業を始めようという方で、まだ知らなかった方は頭に叩き込んでおきましょう。